トム・ルッツ『働かない 「怠けもの」と呼ばれた人たち』

 タイトルに人目惚れ。

 毎日ソファーに寝そべって何もしない息子を見て、著者は腹をたてる。しかし、この怒りはどこからくるのだろうか。その疑問を解決するべく、勤労主義と怠け者主義(スラッカー)の歴史を紐解いていく。


 勤労主義者とスラッカーは両極端にある存在のようにみえるが、表裏一体なのだろう。誰しもが両方の性質を持ち合わせていて、その割合が違うだけだ。そして、どちらも社会にとっては必要なのだ。

 第9章では日本のフリーターについても触れられている。日本のように勤労主義が強い国では、怠け者の存在は一層目立っている。


 労働倫理のもっとも声高な擁護者が、そのもっとも無頓着な冒涜者となることは多い。

 
頼りにしている人間が期待に応えそこねたときや、「ほかの誰か」がカウチに寝そべっているとき、人は自分が労働に対して抱いている真の感情を知ることになる。


 この本は面白いけど、少し冗長な気がする。怠け者には読むのが大変なので、もう少し短くしてほしい。