自転車カナダ横断 空港編 

 自転車は乗るものであって、担ぐものではない。輪行するたびに重さにうんざりしてしまう。空港まで宅配しておけばよかった。新百合ヶ丘で成田行きのバスに乗り込む。ここまでくれば後は担がなくて済む。

 バスを待つ。北米路線は荷物を二つ預けられるので楽だ。

 空港に到着したのは出発時間のかなり前だったが、もうチェックインの受付をしていた。荷物を預ける。自転車はサイズオーバーしているはずだけど、特に何も言われなかった。前と違って、大型荷物専用の窓口から預けるようになったようだ。「席はどこがいいですか?」と聞かれたので「どこでもいいです」と答えたら、「なるほど」と言われた。何がだ。


 バンクーバーに住んでいるいとこへの手土産に、免税店でタバコを買っていく。

 フライトを待つ

 
 大韓航空仁川国際空港で乗り換えである。乗り換えの待ち時間は2:30ぐらいでそんなに長くないので、このチケットをとった。さすがに一晩明かすとかだとめんどくさすぎる。それにしても、飛行機は遠回りすれば安くなるのだから面白いものだ。


 フライト中に窓をしめなければいけない理由がよく分からなかったので、調べてみた。色々理由はあるようだけど、CAの人達が休憩するためというのが一番しっくりくる理由だった。逆に離着時に空けておかなければいけないのは、何かハプニングが起きたときにすぐに確認できるようにするためらしい。起きてから確認しても遅い気がするが。


 一人で飛行機に乗っていると、フライト中は非常に暇だ。仕方ないので、映画を見ていた。『Always 三丁目の夕日』とかいうやつ。後でよく探してみたら、前から見たいと思っていた『ゲーテとの恋』があってびっくりした。こんなニッチなものがあるとは。ただもう一本見る気力がなかったので、寝てしまった。

 
 10時間ぐらいしてようやくバンクーバーに到着。飛行機は疲れる・・・。そして税関にひっかかった。

 オーストラリアでは中をチラ見されてすぐに終わったが、今回はそうは問屋がおろさなかった。まずは荷物を全部出して中身をチェックされる。ザックのパッキングは適当だったので、ここで詰めなおしたら小さくなった。

 荷物チェックが終わるとそこから質問攻め。
 「何をしにきたのか」
 「何でレストランの名刺を持っているのか」(いとこから貰っていたもの)
 「ここで働く気か」(んなわけねーだろ)
 「チケットは自分で買ったのか」(当たり前だろ)
 「ここで働く気か」(また?)
 「親は英語話せるのか。電話するぞ」(話せません)
 「いとこに電話するからちょっと待ってろ」

 と言ってどこかへ消えていった。どうやら俺が不法就労するのでは、と疑っているらしい。そして、寿司レストランの名刺を持っているのが疑わしいようだ。何で二ヶ月しかない貴重な休みにカナダくんだりまで来て働かなきゃならんのだ。だいたい働くなら自転車なんか持ってくるわけねえだろ、少しは頭を使えボケが。時間もかなりかかっているし、だいぶイライラしてくる。

 とにかく働くな、と何度も何度も念を押され、ようやく解放されたと思ったら、出る直前に

 「寿司ショップで働いちゃだめよ」
 
 とまた言ってきた。殺すぞババア。

 
 というわけでカナダの第一印象は最悪だった。