オーストラリアツーリング その十四

3/16 Sand Fire 〜 RA 105km

 エアコンのある部屋は快適だ。外に出たくない。が、いつまでもぐだぐだしているわけにもいかない。思い切って外にでてみたら、曇りだった。今日はそんなに暑くはならないだろう。

 昨日いただいたオートミールを食べてみる。お湯を入れてかき混ぜるだけ。簡単だ。味も思っていたよりも悪くなかった。


 持っているボトル全てに水を入れると、17ℓになった。次の補給まで三日かかるので、これだともしかしたら足りないかもしれない。念のため1.5ℓの水を二本買っておく。20ℓもあれば十分だろう。


 新調したタイヤは快調だ。安定感は増したし、ペダリングも大して重くはならなかった。どう考えても、1.75に分があるなあ。


 曇っていて全然暑くない。運がいい。100km走って、2ℓも飲まなかった。ハイシーズンに走れば毎日これぐらい快調に飛ばせるんだろうな。

 RAは広かった。焚き火も出来そうだったが、木が湿っていてなかなか点火せず、蚊の猛攻が始まったので、焚き火は諦めてそそくさとテントに逃げた。

 夜中はまた嵐。


3/17 RA 〜 BC 100km

 今日も曇りだ。一寸先は雨。

 RAで休憩していると、晴れてきた。気温も急激に上昇する。暑いぞ。

 

 道端で休憩している旅人を発見。荷車があるということは、徒歩旅か。

 テリーは犬二匹とともに旅をしている。


 「どこまで行くの?」
 「決めてない」
 「一日どのくらい歩くの?」
 「犬がばてるまでさ」
 何という適当さ。だがそれがいい

 この犬はとても人懐っこく、じゃれて噛み付こうとしてくる。テリーは「All right」と言っていたが、彼の右腕を見ると血まみれだった。お前明らかにこいつに噛まれただろ。



 テリーがコーヒーを淹れてくれた。もう夕暮れ時なのに随分とゆっくりしている。

 「今日はここに泊まるの?」
 「いや、暗くなったらもう少し歩くよ。涼しいし、車が減るから安全なんだ」
 確かにそう考えることもできるなあ。危険だと思って避けてきたけど、日本のナイトランよりははるかに安全だろう。帰る前に一度くらいはやってみたいな。

 ろうと型の雲。プチサイクロン?

 

 今夜はいい月だ。そして夜風はいい匂いがする。気持ちがいい。これならどこまでも走れるような気がする。どうして今までナイトランを避けてきたのか、と少し後悔した。


 テントの中でうとうとしていると、「グルルルル・・・」と突然大きな唸り声がした。慌てて飛び起きて外を見るが、何も居ない。犬か?それにしては声が大きすぎる。多分牛だろうな。それにしても凄い怒りようだ。

 十中八九柵の中にいるはずだが、柵の外で元気に走り回る牛の姿も度々目撃している。突っ込まれたら一たまりもないので、一応テントの外に逃げて様子を見る。しばらく鳴き声の位置を探っていたら、30分ほどしてようやく柵の中にいると確信がもてた。しかしここでは五月蝿くて眠れない。仕方なくテントを移動する。

 移動している間も相変わらず唸っているので、段々と腹がたってきた。「うるせえ!」と叫んでみたら、意外とあっさり逃げていった。あの牛いつか絶対食ってやる。