漢字の楽しみ方 悪字の数々を弁護する

 雑懶迷隠傷坐忘愚泥闇落凡閑裏閉枯狼果捨老崩鈍埋混駄遊吝素蛮無柔


 これらの漢字は、経済発展を至上とする社会において、嫌なイメージを押し付けられた「悪字」たちである。しかし、漢字の意味は一つではない。これらの漢字のいい面をみて弁護する、というのが本書の主旨だ。作者の辰濃和男は、1975〜88年に「天声人語」を担当していた人らしい。どうりで読みやすいわけだ。内容も面白い。

 雑草があると経済性が悪い。だから除草剤を撒く。しかし、生態系からみればそれは不自然だ。そういう歪みは後に悪影響を及ぼす。雑であることは生命力があり、力強いことなのだ。これからは学問の世界でも「雑」であることが重要になっていくと山口昌男も言っていた。
 
 「欝」といえば憂鬱の意味で使われがちだが、草木が盛んに茂るさまという意味もある。漢字字典を片手に漢字の新たな面を探してみるのも楽しいことだ。

 

 今月はインフルエンザで大変だった・・・