アラン・コルバン編『キリスト教の歴史 現代をよりよく理解するために』

 試験勉強用に借りたが、なかなか面白かった。
 本自体は分厚いけど、一つ一つの論文は短くコンパクトにまとまっているので読みやすい。自分が気になるところだけ拾い読みするといいかも。


 初めて日本に滞在したとき、多くのフランス人旅行者と同じように、わたしは奈良へ行った。お寺の美しさを目の前にして建物に対してこのうえない賞賛の念に捕らえられたわけだが、わたしの目にはそれらの建物は多くの奇妙さを保っていた。魔法をかけられたように魅惑されると同時に後悔の念が入り交じっていた。つまりこのような傑作の建物造営に至った信仰のあり方も世界のとらえ方も理解できていないという後悔であった。
 それ以来、パリのノートルダム大聖堂に押し寄せる多数の日本人観光客を目にすると、わたしは自分が奈良で味わった気持ちを思い出し、このような記念建造物を出現させた中世の人々の心をきちんと理解することが多くの日本人観光客にとっていかに難しいかを推し量ってしまう。
 本書の計画は、まえがきでも述べたように、キリスト教を知らない人々のために、可能なかぎり明快に、キリスト教の歴史の物語を提供することであった。



 このアラン・コルバンという人は他にも面白そうな本をたくさん書いている。

 身体の歴史



 臭いの歴史



 風景と人間



 記録を残さなかった男の歴史


 あたりは読んでみたいと思った。