W・シヴェルブシュ『闇をひらく光 19世紀における照明の歴史』

 シヴェルブシュ祭りその三

 照明は松明やろうそくの炎からガス灯へ、そして電気による白熱灯へと変化していった。電気の光は自然の光に較べて画一的で、管理的である。人工照明の発展を促したのは、やはり産業の要請であった。

 
 日中の自然の光に左右されない労働時間を確保するのが人工照明の役目だった。


 照明も鉄道と同じように、自然からの解放をもたらした技術であったといえる。そしてその影響は産業に対してだけでなく、政治や文化にも他大な影響を与えた。
 かつて火が権力の象徴であったように、人工照明は民衆を管理するための道具としても使われた。フランス革命のときには街灯を破壊する行為があった。それは暗闇にすることで、敵から見えなくなるだけでなく、「管理された光」からの解放を意味するものであった。

 人工照明の技術は、ジオラマや映画といった光によるイルージョンを作り出した。それらは暗闇の中で、焔のように人の目を惹きつける。
 昔の人たちは暖炉を囲み、火を見つめながら団欒していたが、今ではそれに代わって人工照明であるテレビが中心になった。でもテレビみても落ち着かないけど、焚き火を見てると落ち着くんだよなぁ。