自転車カナダ横断 Vancouver~Banff編 そのⅩⅠ

8/8 Revel Stock〜Donald 120km


 宿にボールペンを忘れてしまったようだ。スペースが広いと整頓するのが大変だ。テントなら綺麗に使えるのに・・・


 遠くに雲が見えてきて、雷が落ちた。午後から崩れるとは思っていたが、少し早くないか。逃げられる場所もないので、そのまま進んでいく。



 上空を雷雲が通り過ぎていく。幸い雨は降らなかった。晴れてくると太陽のありがたみを感じる。


 どこかの登山口。



 かなりアップダウンを繰り返してから、Rogers Passに到着。峠である。


 また今にも振り出しそうだったので、焦って先へ進む。途中に屋根付きの休憩所を見つけたが、このときはなぜか先へ進まなければ、と思い込んでいて無視して進んだ。しかし、このまま進んでも嵐に捕まるだろうし、腹が減って坂を越えられそうになかったので、戻って休むことにした。


 すると、さっきからいたパトロールのおっさんが、「ナイスな判断だ。濡れるなよ」と言ってどこかへ消えていった。俺がどうするのか見ていたのだろう。先へ進もうとしたときはさぞかし驚いたに違いない。すぐにおっさんが戻ってきて、「○○だぞ」といって持っていたものを見せてくれた。雹だった。進まなくて本当によかった。

 

 コーヒーを飲もうと思ってお湯を沸かしていたら、雨宿りにきたバイク乗りに「何か食べるのか?」と聞かれた。そういえばお腹が空いていたのだった。オートミールを作ればいいのか。

 
 「何でお前は濡れてないんだ?」
 「雨が降る前に逃げてきたから」
 「スマートだな」

 全然スマートじゃなかったけど。すごい雨が降っていたが30分ほどで晴れ間が見え始めた。山の天気は変わりやすい。腹ごしらえをして落ち着くと、さっき焦って進もうとしていたのがすごいバカバカしくなった。どうせ嵐は過ぎるのを待つしかないのだ。どうせ待つなら屋根のあるところのほうがいいに決まってる。


 すぎゆく嵐。


 晴れたので出発する。景色が綺麗で、写真を撮るために何度も止まるのでなかなか進まない。キャンプ場の看板を見つけたので、そこで泊まることにした。このキャンプ場は蚊が多い。